ごきげんよう!元証券ディーラーの公認会計士KYです。
今回は、日本の株式相場全体の季節性がほとんどみられなかった年として、リーマン・ショックがあった2008年とアベノミクスが始動した2013年について取り上げます。
どちらも日本における代表的な下げ相場と上げ相場であり、参考になることも多いと思いますので、どのような値動きだったのか、振り返っていきましょう!
なお、このネタも私の著書「元証券ディーラーが株を長期放置で2倍4倍にする方法」(ぱる出版)で取り上げるつもりだったのですが、スペースの関係上、泣く泣くカットせざるをえなかったものですね。
日本の株式相場全体の季節性についての私のイメージ
私は証券会社時代からの経験から日本の株式相場全体の季節性について次のようなイメージを持っています。
- 2月末頃から3月中旬にかけて株価が安いことが多い。
- 4月から5月にかけて株価が高いことが多い。
- 8月から9月にかけて株価が急落することが多い。
こういった私のイメージが、どの程度、信頼のおけるものなのかについて検証したのがこれらの記事になります。
これらの記事でも、日本の株式相場全体の季節性を株式投資に活用するにあたっては、ハズレても当然といった半信半疑の姿勢でいるべきと書いているのですが、今回の記事では、さらなる反証事例として日本の株式相場全体の季節性がほとんどみられなかった年を取り上げていきたいと思います。
リーマン・ショックがあった2008年
まずは、リーマン・ショックがあった2008年についてみていきましょう。
世界的に株式相場が大暴落した年として有名ですので、そのときの様子がどんなものだったのかを少しだけでも知ることができたらいいですね。
次のチャートは、2008年の日経平均株価に関して、前年末の終値を100として基準化し、月ごとの基準値の推移を示したものになります。
なお、このチャートは月足ベースの「基準値高値」の推移と「基準値安値」の推移をあらわしています。
意味合いとしては、それぞれの月の最も高い株価だった高値の推移と、最も安い株価だった安値の推移になります。
2008年の「基準値高値」と「基準値安値」の推移ですが、なんとビックリ!日経平均株価が前年末の終値を一度も上回っていませんね。
なお、リーマン・ショックがあったのは9月だったのですが、10月に日本のとある生命保険会社が破綻したことによって、10月には一時的に前年末の終値の半分未満の最安値をつけてしまっているのです!!
すでに紹介した記事「[参考]日本株は何月に買ったらいいのか?【2021年版】」の中では、過去の日経平均株価の推移から「日本株は、どうやら、2月から3月にかけて買って、4月、5月に売り、8月から11月の間に買って、12月に売るのがよさそう」だと書いています。
しかし、2008年に関していうと、例えば3月に日経平均株価に連動する投資信託等を買付けて年末まで保有していたとしたら、どんなにうまいタイミングで買付けたとしても24%強の損失を抱えてしまうことになります。
株式相場全体の季節性から日本株を買うタイミングとして3月が優れているという「過去」の傾向があったとしても、ある年に特有の大きい値動きがあると、それが投資の成果に結びつかないことがあることも、しっかり認識しておいた方がいいでしょう。
また、チャートからも一目瞭然ですが、2008年の「9月の安値」と「10月の安値」を比較すると約37%の大暴落となってしまっています。
株価というものは、下落するときは急すぎるくらい急激に暴落してしまう傾向が強いことも、あわせて認識しておいてほしいと思います。
アベノミクス始動の2013年
今度は、逆に株価が上昇し続けた2013年についてみていきましょう。
衆議院の解散総選挙の結果、2012年末に民主党政権が倒れ、第二次安倍政権が誕生した次の年である2013年は、今度はどっこい、日経平均株価が前年末の終値を一度も下回っていません。
しかも、2013年に関していえば、ほぼどんなタイミングでも日経平均株価に連動する投資信託等を買付けて年末まで保有していたら、利益となっているような状態でした。
この2013年においても、「2月から3月にかけて」は5月まで大きく上昇したという意味で、「8月からギリギリ10月くらいまで」も5月の高値から調整後の上昇待ちの横這い推移だったという意味で、そこそこ優れた買いのタイミングだとは思いますが、やはり、いつ買っても年末まで持っていればもうかるというのは特殊な状況だったといえるでしょうね。
(おまけ)上げ相場と下げ相場の特徴
最後に本題とは別の話になりますが、せっかく日本株の代表的な上げ相場と下げ相場を取り上げましたので、その特徴について指摘しておきたいと思います。
2008年のチャートと2013年のチャートを比べてみてください。
2008年は1月や3月に急落した後は、反発したり、また下がったりで(変動は大きいものの)横這い推移ともとれる動きを続けた後に、9月から10月にかけて急激な大暴落にみまわれています。
これに対して、2013年は、5月の高値からの調整局面はありますが、どちらかというと順調に毎月高値も安値も切り上げて上昇を続けているような印象を受けるのではないかと思います。
もちろん、これも「過去」の値動きのひとつにすぎず、「将来」において必ずそうなるといった類の話ではないのですが、上げ相場では、2013年のように、どちらかというと着実に値を固めながら上昇を続けていくことが多いということを頭に入れておいてもいいのではないかと思います。
逆に、下げ相場では、急落が多発し変動が激しくなっている中で、2008年の10月のように、突然、真っ逆さまに大暴落するようなタイミングと値動きがあるということも、よく知られている下げ相場の特徴といえるでしょう。
以上、公認会計士KYでした!!
みなさんが最高の相場に巡り合えますように!