株放置2倍4倍法

[参考]日本株は何月に買ったらいいのか?【2021年版】

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ごきげんよう!元証券ディーラーの公認会計士KYです。

もしも、株を安く「お得」に買える「月」があるのなら知っておきたいって思いませんか?
「そんなのわかるわけないじゃん!」って思われる方も多いのかもしれませんけど…

今回は、過去22年間の日経平均株価の推移から「株は何月に買ったらいいのか?」について探っていきたいと考えています。
ちなみに、このネタは私の著書「元証券ディーラーが株を長期放置で2倍4倍にする方法」(ぱる出版)でも取り上げるつもりだったのですが、スペースの関係上、泣く泣くカットせざるをえなかったものになります。
本当に株を安く「お得」に買える「月」は存在するのでしょうか?

根拠はないけど、そうなることが多いといった株式相場の季節性

日本では「年末相場」といって、年末までの数日間は株式相場全体が上昇しやすいといわれていたり、米国でも「Sell in May( and go away. But remember to come back in September.)」といって、5月から9月までの間は株式相場全体が軟調に推移しやすいといわれていたりしています。

このように株式相場全体の推移について季節性があると考える方々も多くいたりしますし、株式相場の経験則として紹介されたりすることもあります。
なお、このような明確な理由や根拠があるわけではないものの、それなりの確度で観測される経験則や規則性のことを投資の世界では「アノマリー」といいます。

日本の株式相場全体の季節性についての私のイメージ

私も証券会社時代からの経験から日本の株式相場全体の季節性について次のようなイメージを持っています。

そのため、私は、日本株を購入するタイミングとしては「2月末頃から3月中旬にかけて」と「8月から9月にかけて」が基本だと考えています。
今回は、こういった私のイメージが、どの程度、信頼のおけるものなのかについて検証していこうと思います。

過去22年間の日経平均株価の推移からみた月ごとの売り時と買い時

「百聞は一見に如かず」ということで、早速、過去22年間の日経平均株価の推移をみてみましょう。
次のチャートが、前年末の終値を100として基準化し、22年間の月ごとの基準値の平均の推移を示したものになります。

日経平均株価の月足高値安値の推移(2000年から2021年までの平均)

なお、このチャートは月足ベースの「基準値高値(平均)」の推移と「基準値安値(平均)」の推移をあらわしています。
意味合いとしては、それぞれの月の最も高い株価だった高値の推移と、最も安い株価だった安値の推移です。
もちろん、必ず高値で株式を売却できるとはかぎらないのですが、株式の売却タイミングを探るという観点から高値の推移を、同様に、必ず安値で株式を購入できるとはかぎらないものの、購入タイミングを探るという観点から安値の推移をみていきたいからですね。

日本株を売るなら何月がよさそうか?

まずは、日本株の売り時は何月なのかについてみていきましょうか。

先ほどのチャートをみると、「基準値高値(平均)」が105を超えているのは4月、5月、11月、12月になります。
私の「4月から5月にかけて株価が高いことが多い。」というイメージも、日本の「年末相場」も、米国の「Sell in May」も、(平均としてはという留保がつきますが)まずまず、あてはまっているのかなという印象ですね。

米国の「Sell in May」については、私がまだ証券会社にいた頃(10年以上前)にはすでに日本と米国の株価の連動性はかなり高まっており、現在もそのような傾向がありますので、日本株だけに投資する方でも十分参考になると思います。
「5月に売れ」ということを5月以降しばらくはそれまでの高値を上回れないという意味とすれば、チャートはまさにそのとおりといえるでしょう。

日本株は何月に買ったらいいのか?

一方、買うのは何月がいいのでしょうか。

先ほどのチャートをみると、「基準値安値(平均)」が95を下回っているのは、2月、3月、10月であり、1月、8月、9月、11月が95台となっています。
こちらに関しても、私のイメージは、まずまず、あてはまっていそうですね。

過去22年間の日経平均株価の推移から導かれる月ごとの売買タイミングは?

あくまで過去22年間の日経平均株価の「基準値高値(平均)」と「基準値安値(平均)」の推移をみるかぎりですが、「日本株は、どうやら、2月から3月にかけて買って、4月、5月に売り、8月から11月の間に買って、12月に売るのがよさそう」ですね。

日本の株式相場全体の季節性は絶対的な法則なのか?

ただし、気をつけなければならないのは、月ごとの売買タイミングに関するこれまでの考えは、さしたる根拠ない「過去」22年間の平均から推察されるだけの季節性にすぎず、「将来」において必ず同じような傾向が起こり続けるとはかぎらないということです。

2021年の実際の日経平均株価の推移は?

試しに2021年の日経平均株価の推移がどうだったのかについてみておきましょう。

日経平均株価の月足高値安値の推移(2021年)

まず、2021年の日経平均株価の推移の全体感としては、「基準値安値」ですら前年末終値である100を下回ることは多くなく、かなり底堅い展開であったといえるでしょう。
一方で、「基準値高値」は2月から4月にかけてと9月で110を上回っていて、プラス側での推移になってはいるのですが、高値を毎月更新していくような上昇トレンドでもなかったことがわかります。
まとめるとプラス圏での横這い推移が続いた1年ということができると思います。

ここからが本題ですね。
日本の株式相場全体の季節性について私が持っている次のようなイメージが2021年にあてはまったといえるのかについてみていきましょう。

「2月末頃から3月中旬にかけて株価が安いことが多い。」というイメージですが、2月から3月にかけて「基準値安値」は上昇傾向ですし、また、「基準値高値」も2月から4月にかけては年間の高値圏にありますので、完全にハズレていますね。

「4月から5月にかけて株価が高いことが多い。」というイメージは、4月の「基準値高値」が110を上回っているものの、2月の高値を3月、4月と切り下げていますので、あてはまっているとまではいえない気がします。

「8月から9月にかけて株価が急落することが多い。」というイメージについてのみ、8月に2021年の最安値をつけていますので、あたらずとも遠からずといったところでしょうか。まあ、急落といった感じではないですけどね。
むしろ、米国の投資格言の「Sell in May」のフルバージョン「Sell in May and go away. But remember to come back in September.」(5月から9月までの間は株式相場全体が軟調に推移しやすい)がよくあてはまっているといえそうです。

ここで、日経平均株価の7月から9月にかけての推移について少しだけ補足しておきましょう。
日経平均株価が7月、8月と下落し、2021年の最安値をつけたのは、同じ頃の米国の株式相場全体が堅調で主要株価指数が史上最高値を更新していたのと対照的で、やはり国内での新型コロナウィルスの急拡大の影響が大きかったのかもしれません。
そこから日経平均株価が持ち直しの動きをみせる中、9月に入って菅前首相が自民党総裁選へ不出馬との意向が伝わり、一段高の展開から上昇が続いて2021年の最高値をつけた感じでしたね。
ただ、その後は中国不動産開発大手の中国恒大集団の資金繰り懸念などの影響もあって値を崩してしまいました。

日本の株式相場全体の季節性を活用するにあたって

2021年の実際の日経平均株価の推移をみてみてどうでしょうか。
過去22年間の日経平均株価の推移から「日本株は、どうやら、2月から3月にかけて買って、4月、5月に売り、8月から11月の間に買って、12月に売るのがよさそう」とはいったものの、2021年では完全にハズレているような期間もありますし、そう簡単に「過去」22年間の平均と同じ動きになることはないということがわかったのではないでしょうか。

そのため、まったく役に立たない情報だなと日本株への投資には活用しないという方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
それはそれでとっても論理的なお考えですので、私も賢明な判断として尊重したいです。

ただ、私自身に関してはというと、相変わらず、日本株を購入するタイミングとしては「2月末頃から3月中旬にかけて」と「8月から9月にかけて」が基本だと考えていますし、実際にも「2月末頃から3月中旬にかけて」株を買うことが多い感じですね。
大事なことは、このような「アノマリー」はそもそも根拠がありませんし、完全にハズレてしまうことも多いですので、ハズレても当然といった半信半疑くらいの姿勢で投資行動に活用するような情報であると認識しておくということだと思います。
もちろん、私は「アノマリー」が大好物なんですけどね。

なお、追加で日本の株式相場全体の季節性についての反証事例を紹介する記事も書いてみましたので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

以上、公認会計士KYでした!!
みなさんが最高の相場に巡り合えますように!