ごきげんよう!元証券ディーラーの公認会計士KYです。
今回は、2017年のIPO銘柄を対象として、新規上場前後から5年間の株価推移について分析してみたいと思います。
新規上場前後の株価推移については著書でも取り上げましたが、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターンのひとつを注記喚起しただけでした。
実際のところはどうなのかをもっと確かめるため、前に2016年のIPO銘柄を対象として、新規上場前後から5年間の株価推移について分析してみたところ、株価推移の平均値は意外にも右肩上がりとなっていました。
2016年に関しては、その3年後から5年後までの間に、新型コロナウィルスの感染拡大による世界の株式相場全体の大暴落があったのですが、その後で新興市場株・小型株の一部で暴落をはるかに超える幅で大きく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因の影響が大きかったようにも感じられました。
そのため、2016年以外の年でも調べてみる必要があると考え、すでに2015年、2014年については分析を終わらせています。
今回、2017年のIPO銘柄でも5年後の株価が調べられるようになりましたので、さらに2017年のIPO銘柄を対象として、新規上場前後から5年間の株価推移について分析することにしました。
私のイメージする新規上場前後の株価推移の典型的なパターン
私の著書「元証券ディーラーが株を長期放置で2倍4倍にする方法」(ぱる出版)では、エフオン(9514)という会社が株式を上場させた2005年3月から2014年9月までの株価の動きを取り上げ、新規上場「直後」の株式取引の危険性について注記喚起しています。
新規上場前後からの株価推移でよくある典型的なパターンのひとつとして、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというものがあり、その実例として紹介させてもらったのです。
なお、エフオン(9514)は、2022年12月現在では再生可能エネルギーの木質バイオマス発電を主力としている会社になります。
また、当サイトの「IPO投資攻略法」カテゴリのIPO初心者向けの記事の中でもIPO特有の典型的な値動きとして、株式上場日に株価が高騰することが多く、その後しばらくの間は売買が活発で値動きの激しい「直近上場」期があって、「直近上場」期終了後は株価が下落していくことが多いと紹介しています。
2016年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果
しかし、2016年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移について分析すると、意外にも株価推移の平均値が右肩上がりで、分析結果をまとめると次のようなものになりました。
- 2016年IPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がり
- 2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因による可能性
- 新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在
2016年IPO銘柄の【公開価格】からみた5年後株価の騰落率下位10銘柄から「③新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在」することが確認できました。
しかしながら、「②2020年以降に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因による可能性」はあるものの、「①2016年IPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がり」で(2016年IPO銘柄の【公開価格】からみた5年後株価の騰落率上位10銘柄をみると、31倍や27倍になった銘柄もあったりして、さらに)株価パフォーマンスの面でかなり魅力的なものがありました。
2016年IPO銘柄の分析結果の詳細について気になる方は、後でこちらをチェックしてみてくださいね。
2015年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果
続けて、2015年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果は、2016年IPO銘柄と変わらず、次のようなものでした。
- 2015年IPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がり
- 2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因による可能性
- 新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在
これは時期的に「②2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因による可能性」という同じ特殊要因による影響があったためだと考えられます。
2015年IPO銘柄についても、分析結果の詳細が気になる方は、後でこちらをチェックしてみてくださいね。
2014年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果
2014年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果は、次のようなものでした。
- 2014年IPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がり
- 2014年IPO銘柄と2016年IPO銘柄とを比較した場合、2016年IPO銘柄には2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因の影響
- 特殊要因の影響がない2014年IPO銘柄でも株価を著しく大幅に上昇させている銘柄が存在
- 新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在
「①2014年IPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がり」でしたが、2016年IPO銘柄と比べると、その上昇の度合はそれほど大きなものではありませんでした。
これは「②2014年IPO銘柄と2016年IPO銘柄とを比較した場合、2016年IPO銘柄には2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因の影響」のためかと思われます。
一方で、【公開価格】からみた5年後株価の騰落率の上位3銘柄で5年後の株価が【公開価格】の10倍を超えていて、その首位が【公開価格】の30倍になっているなど、「③特殊要因の影響がない2014年IPO銘柄でも株価を著しく大幅に上昇させている銘柄が存在」していることもわかり、IPO銘柄への投資についての魅力が確認できました。
しかしながら、2014年IPO銘柄でも相変わらず、「④新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在」することが再確認されています。
2014年IPO銘柄についても、分析結果の詳細が気になる方は、後でこちらをチェックしてみてくださいね。
IPO関連の株価のまとめ
念のためですが、ここで、当サイトで使用しているIPO関連の色々な株価について整理しておきますね。
- 【仮条件】:「ブックビルディング」で投資家に提示される株価の価格帯のこと。1,800~2,000円といったように提示され、(現行の制度では)投資家はその価格帯の範囲内の株価と購入したい株数を指定して「ブックビルディング」に申込みます。
- 【公開価格】:IPOの「ブックビルディング」の結果、投資家が株式を購入するときの株価。
- 【初値】:IPOにおいて株式が上場されて初めて取引が成立したときの株価。
ここまで読んでみて、そもそもIPOって?とか、「ブックビルディング」って何だっけ?とか思われた方は、「超」初心者向けに初歩からIPOの基礎知識ついてまとめた記事を書いていますので、まずはこちらをチェックしてみてくださいね。
2017年IPO銘柄の株価推移の平均値
2017年IPO銘柄についても、これまでと同じように、新規上場前後から5年間の株価推移の平均値をとってみました。
2017年IPO銘柄の株価推移の平均値は、【初値】が【公開価格】の倍になって以降は、やや下落傾向ですが、ほとんど横這いとなってきました。
2014年から2016年までのIPO銘柄の株価推移の平均値は長期的に右肩上がりでしたので、これまでとは様子が違いますね。
株価推移の平均値をとるための計算等の前提
詳しい分析に入る前に、そもそも【公開価格】が異なる複数のIPO銘柄の株価推移の平均値をとるための計算等の前提について示しておきましょう。
- 【公開価格】を100として基準化
- 3か月後、半年後、1,2,3,5年後の株価とは株式上場日の応当日を含む対応する各月の月末の終値
- 株式分割等はそれらがなかったものとして株価を調整
②については、例えば1日に新規上場とかでしたら、最大1か月近くのズレがでてしまいますが、各月の応当日が土曜日や日曜日、祝日などだった場合にいつの株価を使うのか判定するのが煩雑なので、簡易的に月末終値とさせてもらいまいした。
この他、2017年IPOは90銘柄あったのですが、株式上場してから5年後までの間に次の銘柄が上場廃止になっていて、88銘柄のデータに基づいています。
- LIXILビバ(3564)
- ソウルドアウト (6553)
私のイメージする典型的なパターンとは異なる平均値の動き
2017年IPO銘柄の株価推移の平均値は、これまでの2014年から2016年までのIPO銘柄の株価推移の平均値とは違い、長期的に右肩上がりとはなってはいません。
しかしながら、【初値】が高騰してからは、やや下落傾向とはいえ、ほとんど横這いといった程度ですので、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという、新規上場前後からの株価推移でよくある典型的なパターンとまではいえないでしょう。
中央値は私のイメージする典型的なパターン
平均値の場合は、株価が大きく上昇した数少ない銘柄の影響で平均値自体が実態などと比べて大きくでるケースもあるので、中央値のチャートも作成してみました。
中央値とは、データの数値を小さい方から順に並べて、ちょうど真ん中になるデータのことをいいます。
中央値でみると、【初値】が【公開価格】の2倍近くになって高騰していますし、その【初値】からみた3年後の株価は40%を超える下落となってしまっていますので、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターンとなっているといって問題ないように思います。
なお、話は変わりますが、2014年から2016年までと同じ傾向として、平均値と中央値を比較してみると、2017年IPOでも、株価が大きく上昇した数少ない一部の銘柄の影響で平均値が大きく上振れしていることがうかがえます。
2016年の3年後から5年後までの間にあった特殊要因と2017年の5年後におけるその反動
実は、とくに2016年IPO銘柄の株価推移に関しては、2016年の3年後から5年後までの間にあった特殊要因の影響が大きい可能性があります。
2016年から4年後の2020年に新型コロナウィルスの感染拡大による世界的な大混乱がありました。
新型コロナウィルスの中国から世界への拡大が認識され始めた2020年2月から3月にかけては、もちろん、世界の株式相場全体が大暴落しました。
ところが、その後、(おそらく世界でもですが)日本の新興市場株・小型株の一部には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛要請の中での、巣ごもり消費関連とか、DX関連とかで、暴落をはるかに超える幅で大きく株価を上昇させる銘柄がみられたのです。
次の東証マザーズ株価指数のチャートをみてください。
東証マザーズ株価指数は日本の新興市場株を代表する株価指数なのですが、2020年2月から3月にかけて急落し、その後、年後半にかけて急落前の水準を大きく超えて上昇していったことがわかりますね。
その一方で、2017年の5年後となる2022年をみてもらえば、とくに1月に大きく株価が値下がりし、6月には、2020年2月から3月にかけて急落したくらいの水準まで株価が戻ってきてしまっていることが確認できると思います。
なお、次のように2014年から2017年までのIPO銘柄の半数超、多い年では3分の2程度が東証マザーズ(現在のグロース市場)への上場となっていますので、東証マザーズ株価指数の動きは2014年から2017年までのIPO銘柄の株価推移についても参考になるものと考えています。
- 2014年:44銘柄(全77銘柄中の57.1%)
- 2015年:61銘柄(全92銘柄中の66.3%)
- 2016年:54銘柄(全83銘柄中の65.1%)
- 2017年:49銘柄(全90銘柄中の54.4%)
2017年IPO銘柄の【公開価格】からみた5年後株価の騰落率上位10銘柄
2017年IPO銘柄の株価推移の平均値については、【初値】が高騰してからは、やや下落傾向とはいえ、ほとんど横這いといった程度でしたが、中央値については、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターンとなっていることがわかりました。
ここではさらに、2017年IPO銘柄の個別の株価推移がどうだったのかについて深掘りして、投資行動に役立てる何かがあるか探っていきたいと思います。
まずは、【公開価格】からみた5年後株価の騰落率上位10銘柄についてみていきましょう。
次の表は、【公開価格】を100と基準化して、株式上場して5年後株価が高かった順にランキングし、それまでの基準値の推移を示したものになります。
なお、計算等の前提はIPO銘柄の株価推移の平均値をとるためのものと同じです。
5年後の株価について、首位のジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)が【公開価格】の23倍、2位のミダック(6564)が14倍と、【公開価格】の10倍を超えていてスゴいことになっていますね。
先ほど示した2017年IPO銘柄の株価推移の平均値と中央値の違いは、このような凄まじい株価上昇となった銘柄の影響によるものであると思われます。
ただ、2016年IPOでは5年後の株価が【公開価格】の10倍を超えていた銘柄が6銘柄もあって、それと比較すると2017年IPOに物足りなさを感じるかもしれません。
これは、2016年の3年後から5年後までの間にあった特殊要因として、日本の新興市場株・小型株の一部で、新型コロナウィルス感染拡大による暴落をはるかに超える幅で大きく株価を上昇させる銘柄があったということの影響が大きいように思います。
一方で、2017年IPOに関していうと、5年後が、その前に株価を大きく上昇させた銘柄が株価を大きく下落させた時期にあたり、その影響があったのだと思います。
例えば、先ほどのジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)の最高値は2021年9月につけた【公開価格】の約44培だったりしますし、ミダック(6564)の最高値も同じく2021年9月につけた【公開価格】の約38培だったりします。
ここで表について補足ですが、「銘柄コード」「銘柄名」などが株式上場時のデータとなっています。
2022年12月現在で把握できているものとしては、2位の「ミダック」が「ミダックホールディングス」に社名変更、9位の「スシローグローバルホールディングス」が「FOOD & LIFE COMPANIES」に社名変更しています。
この他、首位のジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)、3位のレノバ(9519)、5位のオロ(3983)、7位のエル・ティー・エス(6560)、8位マネーフォワード(3994)は東証マザーズ(現在のグロース市場)へ上場していたのですが、現在ではプライム市場の上場となっていますし、2位のミダック(6564)、6位のプレミアグループ(7199)については、それぞれ名証二部、東証二部への上場でしたが、現在ではプライム市場の上場となっています。このあたりについては、研究の余地があるかもしれませんね。
2017年IPO銘柄の【公開価格】からみた5年後株価の騰落率下位10銘柄
2016年IPOと比較すると物足りなさを感じるかもしれませんが、2017年IPOの【公開価格】からみた5年後株価の騰落率上位10銘柄も、十分な株価パフォーマンスであったといえるでしょう。
それでは下位の方はどうだったのでしょうか。
こちらはかなりヒドイことになっていますね。
ちなみに、2017年IPOでは5年後株価が【公開価格】の半値未満になっている銘柄は11銘柄ありました。
実は上位22銘柄が5年後の株価が【公開価格】の2倍以上となっていて、そのことを考えると、下位の方では11銘柄しか半値未満となっておらず、一見IPO銘柄が長期的な投資対象として妙味があるように感じられるかもしれません。
しかし、そもそもIPO銘柄を「ブックビルディング」に申込んで【公開価格】で買付けるのはほとんど不可能で、実際は株式上場後に【初値】以降の株価で買付けることになりますので、今回の上位、下位のランキングをみた印象よりもよっぽど難易度が高いことには注意が必要です。
ちなみに、次の表が【公開価格】と【初値】からみた5年後株価水準ごとの2017年IPO銘柄の分布になります。
【初値】を基準とすると、2017年IPOで5年後までに上場廃止となった2銘柄を除く88銘柄のうち、5年後の株価が【初値】以上となったのは23銘柄しかなく、【初値】を下回ったのが65銘柄となっています。
さらに、5年後の株価が【初値】の2倍以上となったのは9銘柄しかないのに対して、【初値】の半値未満となったのが36銘柄もあります。
2014年から2016年までのデータでは、2017年とは違った結果になってはいるのですが、2017年のデータからはIPO銘柄を【初値】で買付けて5年間保有するのはいい結果となっておらず、このことは認識しておいた方がいいでしょう。
再び、【公開価格】からみた5年後株価の騰落率下位10銘柄のランキングをみてみましょう。
1位のFringe81(6550)、2位のトランザス(6696)、3位の一家ダイニングプロジェクト(9266)、4位のマツオカコーポレーション(3611)あたりは、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという新規上場前後からの株価推移でよくある典型的なパターンのひとつに明確に該当しているように思われます。
その他の銘柄に関しても、新規上場「直後」などの「直近上場」期において、株価が高値をつけているものが多く、【初値】や「直近上場」期に長期で買付けるのにはかなりの危険が伴うという意味で、表にある多くの銘柄が典型的なパターンのひとつに該当しているといえそうです。
2017年IPO銘柄に関しては、中央値でも、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターンがみられましたが、個別銘柄をチェックするとより一層具体的に、新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンが一定数存在することがわかると思います。
そのため、私の著書では、このあたりのことを認識していない初心者の方に向けて、新規上場「直後」の株式取引を控えた方が無難であると注記喚起しましたし、当サイトの「IPO投資攻略法」カテゴリでも、IPO銘柄を「ブックビルディング」に申込んで【公開価格】で買付けることができた場合には【初値】で売却することを前提としたりしています。
なお、表については「銘柄コード」「銘柄名」などが株式上場時のデータとなっていて、2022年12月現在で把握できているものとしては、首位の「Fringe81」が「Unipos」に、2位の「トランザス」が「トラース・オン・プロダクト」に、5位の「ツナグ・ソリューションズ」が「ツナググループ・ホールディングス」に社名変更しており、3位の「一家ダイニングプロジェクト」が「一家ホールディングス」に社名変更したうえで、コード番号も「7127」に変更されています。
この他、3位の一家ダイニングプロジェクト(9266)、5位のツナグ・ソリューションズ(6551)、9位のMS&Consulting(6555)は東証マザーズ(現在のグロース市場)へ上場していたのですが、現在ではスタンダード市場の上場となっていて、6位のネットマーケティング(6175)は2022年12月に上場廃止となっています。
2017年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果
最後に2017年IPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移についての分析結果についてまとめてみたいと思います。
- 2017年IPO銘柄の株価推移の平均値は新規上場「直後」に株価が高騰した後はほぼ横這い
- 2017年IPO銘柄の株価推移の中央値では新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターン
- 2016年IPO銘柄に2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因の影響があったのに対し、2017年IPO銘柄にはその反動として著しく株価を下落させた銘柄があったという影響
- 2017年IPO銘柄でも一部にとどまるものの株価を著しく大幅に上昇させている銘柄が存在
- 個別銘柄の動きとして新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在
「①2017年IPO銘柄の株価推移の平均値は新規上場「直後」に株価が高騰した後はほぼ横這い」でしたが、「②2017年IPO銘柄の株価推移の中央値では新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターン」がみられました。
これは「③2016年IPO銘柄に2020年4月に日本の新興市場株・小型株の一部で著しく株価を上昇させる銘柄があったという特殊要因の影響があったのに対し、2017年IPO銘柄にはその反動として著しく株価を下落させた銘柄があったという影響」があったためかと思われます。
2014年から2017年までのIPO銘柄の新規上場前後から5年間の株価推移について分析してみて思わされるのは、当たり前といえば当たり前のことなのですが、とくに新規上場から5年後の株式相場全体の動きや、日本の新興市場株・小型株の全体的な動向によって、5年間の株価推移の結果が大きく影響されてしまうだろうということです。
このことは特殊な追い風の影響があった2016年IPO銘柄と、その反動としての向い風の影響のあった2017年IPO銘柄を対比するとわかりやすいのではないかと思います。
ただし、向い風の影響のあった2017年IPO銘柄でも、新規上場から5年後の株価が【公開価格】の10倍を超えている銘柄が2銘柄あるなど、「④2017年IPO銘柄でも一部にとどまるものの株価を著しく大幅に上昇させている銘柄が存在」していることもわかり、IPO銘柄への投資についての魅力も確認できました。
しかしながら、「②2017年IPO銘柄の株価推移の中央値では新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するという典型的なパターン」がみられただけでなく、【公開価格】からみた5年後株価の騰落率下位10銘柄をからも、「⑤個別銘柄の動きとして新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在」することが再確認され、IPO銘柄への投資についてのリスクの大きさも実感させられました。
これからも、新規上場前後から5年間の株価推移について分析して、「⑤個別銘柄の動きとして新規上場「直後」に株価が高騰した後に長期低迷するというパターンは一定数存在」することを回避したり、適切に対処したりできるような投資方法があるのかについて検討していきたいと考えています。
以上、公認会計士KYでした!!
いつものことですが、かなりの長文になってしまいましたね。大変お疲れ様でした。
みなさんが最高の相場に巡り合えますように!