IPO投資攻略法

2021年IPOの動向分析-【初値】騰落率&主幹事証券ランキング-

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ごきげんよう!元証券ディーラーの公認会計士KYです。
一部ですが、証券会社の引受部門でIPOに携わった経験もあります。

今回は、2021年のIPOを振り返り、全体的な動向について分析していきます。
とくに次のことを意識しながら記事を読み進めてもらえればと思います。

いつも読んで頂いている方は「今回の記事の前提」はスキップして「2021年IPOの全体的な動向」から読んでくださいね!

今回の記事の前提

IPOは株式投資の中でもかなり特殊な分野ですので、本題に入る前に、今回の記事の前提についてお話しておきます。

当カテゴリ「IPO投資攻略法」の対象

当カテゴリ「IPO投資攻略法」の対象は、IPOにおいて株式が上場される前に「ブックビルディング」という手続を通じて【公開価格】で株式を購入することで、株式上場日に【初値】で売却することを想定しています。

「ブックビルディング」申込で私が注目しているポイント

私がIPOの「ブックビルディング」に申込む際に注目しているポイントは、次の2つになります。

  • 「IPO総額」が小さいか(10億円未満か)
  • 会社の事業内容がいわゆるIT系か

詳しい内容については別の記事でまとめていますので、まだ読まれていない方はこちらをチェックしてもらえればと思います。

IPO関連の株価のまとめ

また、IPOに関して色々な種類の株価がでてきますので、当カテゴリ「IPO投資攻略法」で使用する株価について整理しておきます。

ここまで読んでみて、そもそもIPOって?とか、「ブックビルディング」って何だっけ?とか思われた方は、「超」初心者向けに初歩からIPOの基礎知識ついてまとめた記事を書いていますので、まずはこちらをチェックしてみてくださいね。

2021年IPOの全体的な動向

例年比べるとやや低調な【初値】パフォーマンス

2021年のIPO銘柄全体の【初値】パフォーマンスは次のようになっています。

株式を新規上場した会社の5社に1社が【公開価格】の2倍以上の【初値】をつけ、また、【公開価格】からみた【初値】騰落率の平均も50%を超えているのは、十分すぎるほど素晴らしい【初値】パフォーマンスといえるでしょう。

ただ、実は例年比べるとやや低調なパフォーマンスだったりします。
次の2020年の【初値】パフォーマンスと比較してみましょう。

2020年は株式を新規上場した会社の4割超が【公開価格】の2倍以上の【初値】をつけ、全93銘柄の平均でも【初値】が【公開価格】の2倍を超えるという、凄まじすぎるパフォーマンスとなっていました。

2020年と比較すると、さすがに見劣りしてしまいますが、2021年も十分に魅力的なパフォーマンスといえるでしょう。
このような【初値】パフォーマンスがあるからこそ、IPOの「ブックビルディング」が人気化しまくって、なかなか【公開価格】で株式を購入することができなくなっているのでしょうけどね。

【公開価格】を下回る【初値】となる銘柄が多いのには特殊要因あり

一方で、2021年のIPOで【公開価格】を下回る【初値】となった銘柄が20銘柄もありますが、これについては例年よりもかなり多いです。
えっ、2020年の23銘柄がの方が割合的にも多いんじゃ?と思った方、鋭いですねっ!
実は、これら両方ともについて特殊要因があったりします。

2021年に関していうと、2021年11月中盤から12月にかけて南アフリカで新型コロナウィルスのオミクロン株が発見されたことなどから日本の株式相場全体が不調になり、とりわけ新興市場株全体が大きく崩れていました。新興市場株の代表的な株価指数である東証マザーズ株価指数が11月の高値から12月の安値まで20%超も下落するといった具合にです。
これに加えて2021年12月の新規上場件数が32銘柄と約30年ぶりの高水準となったことが重なりました。
これらの特殊要因のためにIPO銘柄の【初値】パフォーマンスが落ち込んでしまい、2021年12月は32銘柄中12銘柄で【初値】が【公開価格】を下回ってしまいました。

また、2020年に関しても、3月に似たような状況が発生しています。
2020年3月は新型コロナウィルスが中国から欧米へと最初に急拡大していた時期で、世界的にも株式相場全体が大暴落していました。
もちろん、その影響の方が大きかったように思いますが、月間の新規上場件数も24件と比較的多めで、結果として2020年3月は24銘柄中17銘柄で【初値】が【公開価格】を下回っています。

このような特殊要因も含め、すでに紹介した記事「【IPO】「ブックビルディング」申込で注目すべき2つのポイント」の中で「ブックビルディング」申込にあたって考慮した方がいいマイナスポイントについてまとめていますので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

2021年IPO【初値】騰落率ランキング

参考までに、2021年のIPOの【初値】パフォーマンスについて、【公開価格】からみた【初値】騰落率の上位10銘柄と下位10銘柄のランキングを示しておきます。

2021年のIPO【初値】騰落率上位10銘柄のランキング
2021年のIPO【初値】騰落率下位10銘柄のランキング

騰落率トップのアピリッツ(4174)を【公開価格】で買うことができた人は【初値】が【公開価格】の5倍近くまで上昇していますね。
うらやましいっ!!
やっぱり、このようなことがあるからIPOの「ブックビルディング」が人気化しまくってしまうのでしょうね。
一方で、騰落率がマイナスのトップのFinatextホールディングス(4419)では、【初値】で【公開価格】の20%超を失ってしまっています。

2021年IPO主幹事証券ランキング

2021年のIPOに関して主幹事証券ランキングも紹介していきましょう。

主幹事証券ランキングの大切さ

と、その前に注意点をひとつ…
実はIPOの「ブックビルディング」の申込は、どこの証券会社でもできるわけではなく、原則として、ほんの一部の証券会社のみというのが実情です。
そして、あくまで私の個人的な考えにすぎないのですが、株式が上場される前に【公開価格】で株式を購入するためには、「主幹事」というIPOで主要な役割を果たす証券会社に「ブックビルディング」を申込むのが効率的だと思っています。
そのため、IPOの「ブックビルディング」申込にあたっては、主幹事証券ランキングがとっても大切だと思っているのです。

このあたりについては、すでに紹介した記事「まずはココから!【「超」初心者向け】IPOの基礎知識」の中で、IPOに関する証券会社についての注意点を取り上げていますので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

実際の2021年IPO主幹事証券ランキングは?

で、実際の2021年IPO主幹事証券ランキングは次のようになっています。

2021年のIPO主幹事ランキング

野村證券とみずほ証券が首位をわけあっていて、以下、SMBC日興証券、SBI証券、大和証券となっています。
昔は野村證券、大和証券、SMBC日興証券の旧四大証券が上位3位までを占めてという感じでしたので、ここ数年はみずほ証券とSBI証券の躍進が著しいですね。

少し内訳欄について補足しますね。
私はIPOの「ブックビルディング」に申込むに際に次の2つのポイントに注目していますので、私目線で有力な証券会社はどこかという発想で2つのポイントそれぞれと、それら両方の条件をみたす案件の件数をカウントしてみました。

  • 「IPO総額」が小さいか(10億円未満か)
  • 会社の事業内容がいわゆるIT系か

また、2021年はIPOで【公開価格】を下回る【初値】となった銘柄も多かったので、主幹事証券別に初値公開価格割れとなった件数と割合についての内訳も作成してみました。
私は、現時点では主幹事証券の違いによる傾向があらわれるとまでは思ってはいませんが、参考までにといった感じですね。

内訳欄も加味して考えますと、私、そして私と同じポイントに注目して「ブックビルディング」に申込んでみようかと考えている方にとっては、みずほ証券、SMBC日興証券、SBI証券で取引するのがよさそうな感じですね。まあ、あくまで2021年だけみればってとこですけど。

IPOの「ブックビルディング」申込なら、まずはSBI証券

なお、IPOの「ブックビルディング」を申込むためには証券会社に口座を開設しておく必要があるのですが、その前に知っておいてほしいことがあります。
それは、IPOの「ブックビルディング」に申込んだ投資家の中から、証券会社が【公開価格】で株式を購入できる投資家を選定するにあたっての株式配分のルールです。

対面式の大手証券会社では、主に一般の個人投資家向けに抽選で株式を配分する割合を10%以上としています。
おそらく実際も10%程度になっているものと思われますので、一般の個人投資家が「ブックビルディング」に申込んでも、抽選で当選するのはかなり厳しい感じですよね。
その他の90%(証券会社によってはさらに数%を条件付きで個人投資家に配分するところもありますが)については、各証券会社にとっての優良な顧客に対して優先的に配分されるなどと考えておいた方がいいでしょう。
2022年4月時点であらためて調べてみたところ、野村證券、みずほ証券、SMBC日興証券、大和証券で、一般の個人投資家向けに抽選で株式を配分する割合は10%以上となっていました。

それに対して、SBI証券では、60%の株式について抽選で配分することになっています。
さらに30%については「IPOチャレンジポイント」というポイントプログラム用の配分枠だったりします。
「IPOチャレンジポイント」とは、IPOの「ブックビルディング」に申込んで落選したらポイントがもらえて、たまったポイントを使用することで優先的に株式の配分を受けることができるというSBI証券独自のポイントプログラムのことです。
「ブックビルディング」の抽選で落選し続けていったとしても、たまった「IPOチャレンジポイント」を使用することによって、いつかIPO銘柄の株式の配分を受けることができるというのは面白い仕組みですよね。

一般の個人投資家向けの抽選にまわる株式の配分が60%と高く、「IPOチャレンジポイント」という独自のポイントプログラムもあることから、IPOの「ブックビルディング」申込のために証券会社に口座を開設するのなら、まずはSBI証券だろうと私は思います。

SBI証券の口座開設は次のバナーから申込むことができますよ。
次のバナーから申込用のページに移動してもらえればわかりますが、口座開設時に「IPOチャレンジポイント」が10ポイントもらえるみたいですね!!

SBI証券[旧イー・トレード証券]

また、念のためですが、証券会社の口座は複数作ることができますので、SBI証券で口座開設した後で、余裕がある方は野村證券、みずほ証券、SMBC日興証券などでも口座開設してもいいかもしれませんね。

実際に私はSBI証券の他に、野村證券とSMBC日興証券に加えて、ネット証券の松井証券でも口座を開設して取引していますよ。
もっとも、IPOの「ブックビルディング」申込については、ほとんどSBI証券のみって感じになっちゃっていますけどね。それなりに時間もとられてしまいますので、私の場合はどうしても可能性が高めのところしか手が回らないって感じなのです。

ただ、今回の記事で2021年IPO主幹事証券ランキングを作成してみて、ガゼン、みずほ証券でも口座を開設したくなっちゃいました。
そして2022年7月にみずほ証券で口座を開設しました!
早速、IPOの「ブックビルディング」にも申込んでいますよ!!
何をするにしても、また、すでに取り組んでいることでも、やっぱり一定程度しっかりとした情報収集は必要だと今回の記事を書きながら感じてしまいましたね。
私に関していうと、あとは私の余力次第といったところですが。

以上、公認会計士KYでした!!
安定の長文になっちゃいましたね。いつも大変お疲れ様です。
みなさんが最高の相場に巡り合えますように!