IPO投資攻略法

異常事態?!2022年IPOについて3月までの動向分析

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ごきげんよう!元証券ディーラーの公認会計士KYです。
一部ですが、証券会社の引受部門でIPOに携わった経験もあります。

2021年12月もそうでしたが、2022年に入ってからもIPOの【初値】パフォーマンスの調子が悪いです。
今回は、2022年IPOについて年明けから3月までの全体的な動向について分析していきたいと思います。

いつも読んで頂いている方は「今回の記事の前提」はスキップして「2022年IPOについて3月までの全体的な動向」から読んでくださいね!

今回の記事の前提

IPOは株式投資の中でもかなり特殊な分野ですので、本題に入る前に、今回の記事の前提についてお話しておきます。

当カテゴリ「IPO投資攻略法」の対象

当カテゴリ「IPO投資攻略法」の対象は、IPOにおいて株式が上場される前に「ブックビルディング」という手続を通じて【公開価格】で株式を購入することで、株式上場日に【初値】で売却することを想定しています。

IPO関連の株価のまとめ

また、IPOに関して色々な種類の株価がでてきますので、当カテゴリ「IPO投資攻略法」で使用する株価について整理しておきます。

ここまで読んでみて、そもそもIPOって?とか、「ブックビルディング」って何だっけ?とか思われた方は、「超」初心者向けに初歩からIPOの基礎知識ついてまとめた記事を書いていますので、まずはこちらをチェックしてみてくださいね。

2022年IPOについて3月までの全体的な動向

かなり低調な【初値】パフォーマンス

2022年IPOについて3月までの【初値】パフォーマンスは次のようになっています。

【公開価格】の2倍以上の【初値】となったのが1銘柄しかないうえ、3分の1の銘柄で【初値】が【公開価格】を下回っています。
【公開価格】からみた【初値】騰落率の平均は29%の上昇ですので、それほど悪くないように思われるかもしれませんが、IPOの【初値】パフォーマンスとしては物足りないものといえるでしょう。

参考までに2021年と2020年のそれぞれ1年間のIPO銘柄全体の【初値】パフォーマンスを示しておきますね。

2021年は株式を新規上場した会社の5社に1社が【公開価格】の2倍以上の【初値】をつけ、また、【公開価格】からみた【初値】騰落率の全125銘柄の平均も50%を超えていました。

2020年は株式を新規上場した会社の4割超が【公開価格】の2倍以上の【初値】をつけ、全93銘柄の平均でも【初値】が【公開価格】の2倍を超えるという、凄まじすぎるパフォーマンスとなっていました。

2022年IPOについて3月までの【初値】パフォーマンスに関していうと、【公開価格】からみた【初値】騰落率の平均は29%の上昇ですが、3分の1の銘柄で【初値】が【公開価格】を割り込んでいるのでは、ちょっと「ブックビルディング」に申込むのをためらってしまいますよね。

株式の新規上場を中止する会社も多数

また、2022年1月から3月かけて東京証券取引所から次の6銘柄について株式の新規上場の承認取消しが発表されています。

あくまで私の感覚ベースですが、新規上場の承認取消しは年に1回か2回あるかないかといったくらいですので、3か月のうちに6銘柄で発表されるのはかなり異常です。

なお、新規上場の承認取消しは、証券取引所が新規上場の承認をした後に、不祥事などが発覚した結果、証券取引所が承認取消しをするパターンもあるのですが、今回の6銘柄については、すべてが会社からの申出に基づいたものということでした。

実は過去にはもっと高水準の新規上場の承認取消しがありましたので紹介しておきますね。
2020年3月から4月にかけて20銘柄近くについて株式の新規上場の承認取消しが発表されたこともありました。

背景にある特殊要因

2022年IPOについて3月までの低調な【初値】パフォーマンスや、会社からの申出に基づく新規上場の承認取消しが高水準で発生しているのには、大きな要因があります。
それは「株式相場全体や新興市場株・小型株全体の絶不調」です。

2021年12月もそうだったのですが、そのときは新興市場株の代表的な株価指数である東証マザーズ株価指数が11月の高値から12月の安値まで20%超も下落していました。
年が明けて2022年に入ってからもその傾向は変わらず、東証マザーズ株価指数は一旦戻した12月の高値から2月の安値まで約36%の暴落にみまわれています。
さらに2月にはロシアによるウクライナへの侵攻が行われたこともあって、日本を代表する株価指数である日経平均株価も3月に25,000円を割り込む安値をつけました。これは2021年末からみて約14%下落した水準になります。

このような「株式相場全体や新興市場株・小型株全体の絶不調」が、2022年IPOについて3月までの低調な【初値】パフォーマンスや、会社からの申出に基づく新規上場の承認取消しにつながっていると思われます。
正直、憶測の連想ゲームといった感じなのですが、「株式相場全体や新興市場株・小型株全体の絶不調」がIPOの低調な【初値】パフォーマンスを引き起こし、それも背景となって、株式を上場させようとしている会社が主幹事証券と「ブックビルディング」の【仮条件】や【公開価格】を交渉するにあたって満足できるような株価水準にならないといった理由などから、株式の新規上場を延期して株式相場全体の落ち着きを待とうというようなケースが多いのだろうと推測しています。

なお、2020年3月から4月にかけて株式の新規上場の承認取消しが20銘柄近くあったときは、新型コロナウィルスが中国から欧米へと最初に急拡大していた時期で、2020年3月は世界的にも株式相場全体が大暴落していました。

IPOの【初値】パフォーマンスが低調なときのための対策

3月までの2022年IPOのように【初値】パフォーマンスが落ち込んでいるときには、どのような対策をとればいいのでしょうか。

ひとつは「ブックビルディング」の申込を少しお休みするという対策が考えられます。
確信があるわけではありませんが、「ブックビルディング」に申込んで【公開価格】で株式を購入するIPO投資について経験豊富な投資家の方の中には、すでにお休みに入られている方もそれなりに多くいらっしゃるのではないかとここ最近感じたりしています。

ただ、私は「ブックビルディング」申込をお休みすることはしていません。
私がどうしているのかというと、IPOの【初値】パフォーマンスが低調なときのためだけの対策というわけではなく、普段からIPOの「ブックビルディング」に申込む際に【公開価格】を下回るような【初値】となる可能性が低そうで、逆に【初値】が高騰する可能性が高そうな銘柄を選別して、優先的に「ブックビルディング」に申込むようにしています。
具体的に私がIPOの「ブックビルディング」に申込む際に注目しているポイントは次の2つです。

  • 「IPO総額」が小さいか(10億円未満か)
  • 会社の事業内容がいわゆるIT系か

詳しい内容については別の記事でまとめていますので、まだ読まれていない方はこちらをチェックしてもらえればと思います。

また、2022年3月までのような「株式相場全体や新興市場株・小型株全体の絶不調」に遭遇してしまった場合の注意点として、この記事の中で「ブックビルディング」申込にあたって考慮した方がいいマイナスポイントについてもまとめていますので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

2022年IPOについて3月までの全銘柄リスト

最後に、参考として2022年IPOについて3月までに株式を新規上場した会社の全銘柄リストを紹介したいと思います。

こういったリストをみるときも、先ほど私が紹介したIPOの「ブックビルディング」に申込む際に注目している2つのポイントが役に立つのか、確かめながらみていくといいですよ。
投資に関しては、どんな情報でも素直に信じてしまうのではなく、本当なのかといった感じで自分自身で検証しながら取り入れていくのがいいと思います。

2022年2月のIPO銘柄リスト

まずは2022年2月のIPO銘柄リストです。
7銘柄中2銘柄で【初値】が【公開価格】を下回ってしまっていますね。
一方で、【初値】が【公開価格】の2倍以上となる銘柄も1銘柄あります。

2022年2月のIPO銘柄リスト

2022年3月のIPO銘柄リスト

次に2022年3月のIPO銘柄リストです。
こちらは8銘柄中3銘柄で【初値】が【公開価格】を下回ってしまっています。

2022年3月のIPO銘柄リスト

今回の記事はこんな感じですかね。
2022年に入ってから3月までIPOの【初値】パフォーマンスの調子が悪いというお話でした。

以上、公認会計士KYでした!!
みなさんが最高の相場に巡り合えますように!